多文化共生時代に生きる私達の物語
社会的なテーマを強烈なリアリズムでエンターテインメントへと昇華させてきたブラジル映画界の伝統から新たな快作が誕生した。
ブラジル出版界の最高権威である「ジャブチ賞」を2012年に受賞したオスカール・ナカザトの小説『ニホンジン(原題:Nihonjin』(水声社)を、ブラジル屈指のアニメーションスタジオPINGUIM CONTENTが映像した本作は、緻密なタッチを持つ現代アーティスト、大岩オスカールの俯瞰的かつ寓話的な視点をインスピレーションとし、大画面でダイナミックに繰り広げられる普遍的な人間ドラマとして、本国ブラジルではロングラン興行となっている。
奇しくも日伯修好から130周年を経た今夏、映画『ニホンジン』が祖国に凱旋する。
10歳のノボルはブラジル日系移民3世。
小学校で自らの文化的アイデンティティをリサ―チする宿題を与えられ、その答えを探すため、祖父のヒデオを訪ねる。
寡黙なヒデオは自分の過去と向き合うことを避けてきたが、自分の物語をノボルに語り始める。
ノボルは一族の歴史を掘り下げていくうち、一度も出会ったことのない叔父ハルオの存在を知ることになる。
CV:ピエトロ・タケダ
ノボルは心優しい10歳の少年。
彼は自分のアイデンティティに苦しみ、自分が何者なのか、そしてこの世界における自分の居場所はどこなのかと自問自答します。陽気で親しみやすい性格のため、小学校にはたくさんの友達がいますが、ときどき「ジャパ」と呼ばれるとイライラすることも。三世のノボルはブラジル文化に親しみがあります。
CV:ケン・カネコ
ノボルの祖父ヒデオは20歳の時、ブラジルのコーヒー農園で働くためにやって来ました。生活と労働環境に失望し、不信感と苦悩を募らせるようになります。子供たちを日本人として育てるためにあらゆる努力をし、戦後も信念を曲げず、日本への忠誠を貫き通しました。ヒデオは口数の少ない老人なので、自分の過去について話すことはさらに難しいのですが、過去の自分を振り返るきっかけとなる物語をノボルに語ります。
原作はブラジルの出版界において最も権威ある文学賞であるジャブチ賞を2012年に受賞した小説『ニホンジン(原タイトル:Nihonjin』(水声社)。
パラナ州出身の日系三世オスカール・ナカザトは、孫である自らの視点で、20世紀初頭にブラジルに移民し、サンパウロ奥地の農場で身を粉にして働き、第二次世界大戦の困難を経て、家庭を築いた祖父母と、その一族の家族ドラマを、あくまで普遍的な人間の争いや葛藤として見事に表現している。
原作小説を読んだ瞬間から、登場人物と物語の感情表現に深く感銘を受けました。
ヒデオの記憶とノボルの想像力が織りなす物語を伝えるには、アニメーションこそが最適な手法だと思いました。
また、日本とブラジルの深い文化の違いによって、ノボルと祖父の世代間ギャップが広がっていく様子にも強い衝撃を受けました。
サンパウロ生まれの私にとって、学校で親しい友人の中にはノボルと同じように日系人もいました。日系人と非日系ブラジル人の家の違い、食べ物だけでなく、宗教、伝統、壁に描かれた絵画、聴く音楽、年長者への強い敬意など、様々な違いに魅了されました。
こうした出来事を通して、私たちは自分のアイデンティティをどのように定義するのか、考えるようになりました。
生まれた場所によって?家族の生まれた場所によって?ノボルとヒデオの葛藤は、こうした疑問を浮き彫りにしています。
映画『ニホンジン』は、日本からブラジルへ渡った移民の歴史と心の葛藤を描いた作品で、私の心を深く揺さぶりました。祖父のルーツを知るために移民の苦労や誇りが丁寧に表現されています。130年にわたる日本とブラジルの友好の背景には、より良い生活を求めて海を渡った人々の強い意志がありました。しかし、現地での生活は決して楽ではなく、過酷な労働や差別に直面し、辛い時代もあったことに胸が痛みました。それでも彼らは努力を重ね、自ら土地を持ち、新たな作物を育て、少しずつ生活を築いていきました。
私はブラジルで生まれ育ちましたが、当時のような厳しい時代を経験していません。それでも異国で生きる難しさは想像できますし、両親もまた苦労を重ねてきました。この映画で特に心に残ったのは、移民たちが日本の文化や精神を大切に守り続けたことです。むしろ日本に住む人々以上に、日本人としての誇りを持っているように感じました。祖父の日本人としての誇りと尊敬の念には強く心を打たれました。
この作品は、国を離れることで逆に自分のルーツへの愛が深まるという大切なメッセージを伝えています。新しい世代にとっても、自分の原点を見つめ直すきっかけとなる、温かく力強い物語を優しく語っています。
多くの方に凛と生きてきた日本人の姿を見ていただきたいです。
子どもを持つ親なら、きっと胸に残る作品です。
見終わったあと、親子で家族のことを話すきっかけになるはずです。
日本を離れ
這いつくばって歩んだ彼らの100年以上の道のりの中に
日本に生きる我々が今こそ学ぶべき道標がある
日本語クレジット
監督:セリア・カトゥンダ 脚本:リタ・カトゥンダ 声の出演:ケン・カネコ ピエトロ・タケダ
原作:オスカール・ナカザト『ニホンジン』 美術着想:大岩オスカール
2025年/ブラジル/ポルトガル語・日本語/カラー/4K/5.1ch/84分/
英題『My Grandfather Is a Nihonjin』© 2025 Pinguim Content. All Rights Reserved
後援:駐日ブラジル大使館 ギマランイス・ホーザ文化院 在浜松ブラジル総領事館 在名古屋ブラジル総領事館 在東京ブラジル総領事館
配給:2ミーターテインメント 協力:ノウアイデアデザイン株式会社 DCP制作:s.e.a. 日本語字幕:宮下ケレコンえりか